衿の接着芯は表に貼る?裏に貼る?接着芯の種類や貼り方・はがし方

縫い方

服を縫う時、見返しや衿、袖口のカフスなどに接着芯を貼ります。布に張りを持たせて型崩れなどを防いだり、薄い布などの強度を増すためです。

教室でもyoutubeの動画でも質問頂く事が多いのは特に衿についてで「表衿、裏衿、どっちに貼ったらいいですか?」とよく聞かれます。

そこで、この記事では主に衿の接着芯についてと、洋服作りにおける接着芯のあれこれをまとめてご紹介します。

衿の接着芯は表に貼る?裏に貼る?

洋裁では「芯を貼る」という作業は必須です。理由は冒頭でも述べた通り布に張りを持たせて型崩れなどを防いだり、薄い布などの強度を増すためですが、最大の目的は縫いやすくして綺麗に仕上げることです。

で、問題のどちら側に貼るか?についてですが、結論から言うと「ケースバイケース」です。どちらか片方に貼るのが正解です!ということはありません。

習ったのは裏衿に貼る方法

私が洋裁学校で習ったのは「衿の接着芯は裏衿に貼る」でした。ですので私の教室でもそのようにお教えしてきました。どんな素材でも衿の接着芯は裏に貼る、と習ったので教えられたままを頑なに守ってきました。

でもなぜ??? 理由を聞いたかどうかは覚えていません。ただ教えられたままにやる、と言う感じ。そこで、なぜ裏に貼るのか、ついての理由を考えてみました。

【接着芯を裏衿に貼る理由】
表側に張りを持たせたくないデザインのとき。
形を保つためにサポート的に貼るものだから。
薄い生地は表に貼ると透ける場合がある。

などが挙げられます。理由について考えるとなるほど。。。ですね。

ブログなどを介して他の教室の洋裁の先生方と交流したりネットで調べた時「表衿に貼る」と言う人が意外と多かったことに驚きました。

習ったままを守ってきた私は「表衿に貼る」と言っている人がいると知って、静観するのみでしたがある時試しに実際に表側に貼って衿を作ってみたのです。

するとどうでしょう!




特にどうということはありませんでしたが縫いやすさは感じたかも?
(ここはまた違う要素が加わってくるのですが、芯を貼った方を上にして縫うのか、貼った方を下にするのか?と言う問題が出てきます、後ほど詳しく説明しますね。)

私は主に扱っている生地が中厚程度のリネン、ということもあって割としっかりした生地です(薄物はめったに扱いません)

表衿に貼る方が縫いやすい?

私が普段扱っているこれらの生地はむしろ、表衿に貼った方が綺麗に仕上がるように思い、ここ最近は教室でもyoutubeの作り方動画でも表衿に貼る方法でお伝えしています。

どちらに貼るか?だけにフォーカスすると前にお伝えした通り「ケースバイケース」です。ただ、私の扱う素材が表衿に貼る方が仕上がりがいいし、縫う工程も楽な気がします。

縫う工程が楽、と感じる点を説明するには、それプラスミシンの特性なんかも併せてお伝えしなければ、となります。ミシンの特性まで言われても困りますよね(;’∀’) 困らないよ~、と言う方のために特性について書いておきます。

ミシンで縫う時の「ずれ問題」に関係してきます。


衿の作り方の関する動画を公開していますが、この方法は洋裁学校時代に習った作り方で「王道」と言えるのかもしれません。芯は裏衿に貼っています

ですが、最近私が衿を作っている方法はこの動画とは違っていて、表衿に芯を貼っていますし縫い方も考え方も違っています。なので、新しく衿の作り方だけの動画を撮ろうとは思っているので、しばしお持ちください…。

接着芯の種類

次にどんな接着芯が適しているのかについてお話します。あくまでも洋裁用の接着芯、ということでハンドメイドに使う不織布とは違います。

私が使っている接着芯は『日東紡ダンレーヌ接着芯』です。リピ買いしているのは「Dan-Reine SX33」

日東紡ダンレーヌ接着芯にはいろいろな種類がありますが、厚さ的にも扱いやすさもSX33が最適かなと私は思っています。薄い生地で仕立てるときは裏衿に貼って使います。

よく聞く接着芯トラブルに「洗ったら縮んだ」と聞きますが、これまでにはそんな事例はありませんでした。と言うのも、貼る方側の表生地の水通し(あらかじめ生地を縮めておく)がしっかりできていてこそなのです…。表生地をしっかり水通しして縮めておけば、仕立て上がりを洗濯して縮む、ということは起こりません。

また、教室の皆さんが手芸店で「薄い接着芯」として買ってこられるものの中に「ニット生地用の伸縮性のある接着芯」を勧められて買われることがあります。ニット用でも使えないことはないですが、アイロンを気を付けないといけません。

一般的な手芸店には取り扱いがないのかも?私はネットで買っています。

接着芯の貼り方

接着芯を貼るときはあて布をしましょう

接着芯を貼るときの注意点をいくつかお伝えします。洋裁ではほとんど、と言うかほぼ片面接着の芯を使います。

一番確認しておきたいのは、どっち側に糊が付いているか、です。これを間違えると、あて布やアイロン台、最悪アイロンにべたっーと貼ってしまうことも…。

アイロンに直接ついてしまった糊を放置しておくと、糊が焦げて生地を汚したりすることもありますので、十分に気を付けましょう。

また生地に芯を貼るときは、直接芯にアイロンをあててはいけません、必ず当て布か紙を一枚挟みます。そのとき、「上」や「表側」などと、あて布に印をして、どちら側の面を接着芯に当てたかをわかるようにしておくことが必要です。

一度接着に使ったあて布は糊が付着しますので、いくらあて布をしてと言っても接着した面を上してアイロンをすると、ついた糊がアイロンに付着してしまいます。

気を付けていてもアイロンは汚れるものです。ときどきはクリーナーを使ってアイロン面を綺麗に掃除しておきましょう。

アイロンのかけ方

実際のアイロンの当て方としての注意点は、あて布をした上をスライドさせるのではなく、上からプレスするような感じに押えていきます。まず中央部分からプレスして接着させ、浮かせては移動、プレスを繰り返します。

端が接着されているかを確認しながらしっかりと圧力をかけながら全体を貼り、あとは冷めるまで待ちましょう。

接着芯の裁断について

例えば「衿」に芯を貼るとき、出来上がりサイズで裁断して貼るのか、縫い代分も入れて裁断するのか、悩むところです。

私はほとんどのパーツを縫い代を1cm付けて裁断し、接着芯も表生地と同じ大きさで裁断します。本縫いのとき接着芯も一緒に縫うことになりますが、そうする事で例え接着が剥がれたとしても、芯が中で動くことはありません。

衿の裁断は少し違っていて、まず先に衿の型紙が入るサイズで生地をざっくりと粗裁ちし、全体に接着芯を貼ります。その後で裁断します。

芯を貼ると熱によって若干の縮みが出ることもあります。先に芯を貼ってその後できっちり裁断すれば縮みの心配をしなくても済みます。

薄い接着芯を型紙通りに裁断することはまあまあのストレスになりますし、高い確率で表衿とずれてしまいます。

先に接着芯を貼って裁断すればかなりストレスの軽減になりますし、より正確な形に裁断する事ができます。

接着芯 貼るのを失敗した時の対処法

間違った場所に貼ってしまった時や、まがって貼ってしまった時の対処法を紹介します。一度接着したらなかなか綺麗には剥がせないものですが、貼った直後などは剥がすこともできます。

接着芯をアイロンで温めながら、ゆっくりと剥がしていく方法です。剥がしたいところにアイロンをあててそーっとはがすと、剥がせる場合もあります(どんな時でも完璧にはがせるとは言い切れませんが…。)

剥がした後も、糊が残っていますのでいらない布を重ねてアイロンで押さえ、残った糊をあて布に移しとります。そうしたとしても完璧に糊をとることはできませんが(;’∀’)

ちなみに、剥がした接着芯は使えませんので捨ててください。

衿の接着芯は表に貼る?裏に貼る?接着芯の種類や貼り方・剥がし方まとめ

今回は「衿」に接着芯を貼るとき表衿に貼るのか、裏衿に貼るのかについての考察、また洋裁における接着芯の様々な考え方や疑問、対処法などをまとめました。

貼り方や剥がし方について、またおすすめの接着芯やアイロンクリーナーをご紹介しました。ご参考にして頂けたらと思います。

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