セットインスリーブとシャツスリーブの違い|袖山・型紙・縫い方をわかりやすく解説

縫い方の基本

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洋服を作っていると、「セットインスリーブ」と「シャツスリーブ」という言葉を目にすることがあります。

どちらも身頃の袖ぐりに袖を付ける方法ですが、
「何が違うの?」
「袖を付ける順番が違うだけ?」

と思ったことはありませんか?

実はこの2つ、縫い方だけではなく、袖山の高さやイセの有無、袖幅、縫い代の付け方、そして完成したときのシルエットまで違います。

この記事では、セットインスリーブとシャツスリーブの違いを、実際に洋服を作る人の目線からわかりやすく解説します。

セットインスリーブとシャツスリーブの違い

まず、大きな違いを比較してみましょう。

セットインスリーブシャツスリーブ
袖山高め低め
袖幅比較的細め比較的広め
イセあり基本的になし
肩まわり体に沿いやすいゆったり
袖付け筒状にしてから付ける平らな状態で付ける
縫い順脇・袖下→袖付け袖付け→脇・袖下
印象立体的・きれいめカジュアル・ゆったり
主な服ジャケット、スーツ、ワンピースなどシャツ、ブラウス、カジュアルウェアなど

パッと見てわかりやすい違いは、袖山の高さと袖幅です。
セットインスリーブは袖山が高く、比較的すっきりした形。
シャツスリーブは袖山が低く、袖幅も広めに作られます。でも、この形の違いにはちゃんと理由があります。

セットインスリーブとは?

セットインスリーブは「普通袖」とも呼ばれる、基本的な袖の形式です。
身頃と袖を別々に裁断し、それぞれを縫い合わせてから、筒状になった袖を身頃の袖ぐりにはめ込むようにして縫います。

一般的な縫い順は、

  1. 身頃の肩線を縫う
  2. 身頃の脇線を縫う
  3. 袖下を縫って袖を筒状にする
  4. 袖山にイセを入れる
  5. 身頃の袖ぐりに袖を入れて一周縫う

という流れ。袖を身頃の袖ぐりに「セットして入れる」ような仕立て方ですね。

筒状の身頃+筒状の袖を組み合わせて、袖ぐりをぐるっと一周縫います。

カーブ同士を合わせながら、さらに袖山のイセも均等に収めなくてはいけないので、初心者さんには少し難しく感じる工程です。

💡セットインスリーブのポイントは「イセ」

セットインスリーブをきれいに仕上げるうえで重要なのが、袖山のイセです。型紙では、袖山側の縫い合わせ寸法が、身頃の袖ぐり寸法より少し長く作られています。

この余分な分量が「イセ分」です。イセはギャザーとは違います。縫い縮めた跡が見えるほど寄せるのではなく、余分な布を少しずつ分散させながら袖ぐりに収めます。

これによって平面だった布に丸みが生まれ、肩や腕の厚みを包み込むような立体的な袖になります。
きれいに仕上がったセットインスリーブを見るとギャザーはありません。でも、袖山にはちゃんと余分な分量が入っている。見えないところで立体を作っているのがイセなんですね。

セットインスリーブは、縫ったあとのアイロンも大切です。袖山の丸みをつぶさず立体的に整えたり、筒状になった袖下の縫い代をきれいに割ったりするときは「袖万」があると便利です。

シャツスリーブとは?

シャツスリーブは、その名の通りシャツなどによく使われる袖です。セットインスリーブと比べると、袖山が低く、袖幅が広いのが特徴です。

メンズシャツやカジュアルなブラウス、肩を落としたドロップショルダーなどでもよく見られます。そして大きな違いが、基本的に袖山にイセを入れないこと。

身頃の袖ぐりと袖山の縫い合わせ寸法をほぼ同じにして、平らな状態で縫い合わせられるように作られています。そのかわり、袖幅や身幅などにゆとりを持たせることで運動量を確保します。

シャツスリーブでは、身頃の肩線を縫ったあと、まだ脇線を縫いません。身頃を平らに広げた状態で、同じく平らな袖を袖ぐりに縫い付けます。そのあと袖下から身頃の脇線までを続けて縫います。

つまり、
セットイン=輪になった袖をあとから付ける
シャツスリーブ=平らなうちに袖を先に付ける
という違いがあります。

型紙の「縫い代」の違い

型紙を作る場合は、縫い代にも注意が必要です。

セットインスリーブでは、先に身頃の脇線や袖下を縫ってから袖を付けます。
そのため、袖ぐり付近では脇線や袖下線を基準に、縫い合わせたときに縫い代がきれいにつながるように設計します。

一方、シャツスリーブでは先に袖ぐりと袖山を縫い合わせ、そのあと袖下から脇線を続けて縫います。
そのため、こちらは袖ぐり線・袖山線を基準に縫い代の角度を考える必要があります。

「どっちも袖なんだから同じように縫い代を付ければいい」というわけではありません。
縫う順番が違えば、縫い代の形も変わる。
型紙を自分で作る場合には、特に覚えておきたいポイントです。

また、縫い代の倒し方にも違いがあります。意外と見落としやすいのがここです。袖付けが終わったあとの縫い代を倒す方向も違います。

セットインスリーブでは、袖ぐりの縫い代を袖側へ倒します。袖山の丸みをきれいに立ち上げ、立体的なシルエットを作るためです。

一方、シャツスリーブでは縫い代を身頃側へ倒し、コバステッチなどで押さえる仕立てもよく使われます。シャツを見てみると、袖付け部分にステッチが入っているものがありますよね。あれもシャツらしい仕立てのひとつです。

セットインスリーブをシャツスリーブのように平付けしてもいい?

ここ、やってみたくなりませんか?シャツスリーブの平付けの方が簡単だから、「セットインスリーブも先に平らな状態で縫えばラクなのでは?」と。

ところが、基本的にはおすすめできません。

セットインスリーブの袖山には、身頃の袖ぐりより長いイセ分が含まれています。
そのため、シャツスリーブのように平らな状態で単純に縫い合わせようとすると、袖側の布が余ってしまいます。

無理に合わせると、

・袖山にシワが入る
・意図しないギャザーができる
・袖がねじれる
・肩まわりの立体感がきれいに出ない

といった原因になります。

さらに、先ほど説明したように縫い代の設計も縫製順に合わせて作られています。
型紙には、その縫い方をする理由があります。
洋裁本や型紙に縫製手順が指定されている場合は、基本的にはその順番で縫うのがおすすめです。

仕上がりのシルエットも違います。

セットインスリーブは袖山が高く、イセによって肩の丸みに沿わせるため、肩まわりがすっきりと立体的に仕上がります。ジャケットやスーツ、きれいめのワンピースなど、肩のラインをきれいに見せたい服に向いています。

一方のシャツスリーブは袖山が低く、袖幅や身幅にもゆとりがあります。
肩を落としたデザインとも相性がよく、ゆったりしたカジュアルなシルエットになります。

つまり、単に、「こっちの方が縫いやすいから」で決めるものではなく、
どんなシルエットの服を作りたいかによって、袖の設計そのものが変わるということです。

初心者にはどちらが縫いやすい?

縫製だけを見ると、一般的にはシャツスリーブの方が縫いやすいでしょう。身頃と袖を平らな状態で縫えるため、ミシンの手元が見やすく、イセを均等に入れる必要もありません。

一方、セットインスリーブは、

・袖山にイセを入れる
・合印を正確に合わせる
・カーブ同士を縫う
・シワやタックを作らない
・アイロンで丸みを整える

など、少しコツが必要です。

ただ、セットインスリーブをきれいに付けられるようになると、洋服の仕上がりはぐっと変わります。ぜひ覚えておきたい洋裁の基本技術のひとつです。

まとめ|違いは縫い方だけではない

セットインスリーブとシャツスリーブの違いをまとめると、

セットインスリーブ
・袖山が高め
・袖幅は比較的細め
・袖山にイセがある
・筒状にしてから袖を付ける
・肩に沿った立体的なシルエット

シャツスリーブ
・袖山が低い
・袖幅が広め
・基本的にイセがない
・平らな状態で袖を付ける
・ゆったりしたカジュアルなシルエット

となります。

大切なのは、袖の付け方だけが違うのではないということ。

袖山の高さやイセ、身頃の袖ぐり、肩幅、袖幅、縫い代、そして縫製手順まで、それぞれのシルエットに合わせて設計されています。

型紙を見るときに、
「これはセットインだから袖山が高いんだな」
「これはシャツスリーブだから平付けするんだな」

と理由がわかるようになると、洋裁はぐっと面白くなります。形の意味がわかると、縫い方の意味も見えてきます。

袖山の高さや袖幅を変えると、シルエットがどう変わるのか。もっと型紙から理解したい方には『誌上・パターン塾 Vol.1 トップ編』も参考になります。

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