ボタンホールの手縫いは簡単ではないけど、きれいに仕上がる縫い方と糸の選び方

手縫いボタンホールの写真 型紙と縫い方の基本

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洋裁でボタンホールは作品の仕上がりを左右する要素のひとつでもあります。

ボタンホールを手縫いで作るのは、初心者さんにとって少し難しく感じるかもしれませんが、正しい縫い方と糸の選び方などの基本的なことをマスターしてコツコツと取り組むことで習得でき、洋裁のスキルがかなり上がります。

この記事では、洋裁初心者の方にも分かりやすいように、ボタンホールを手縫いで作る基本の方法、美しく仕上げるコツや、失敗を防ぐためのポイント、さらにおすすめの糸の種類まで詳しく解説します。

ボタンホール手縫いの基本

ボタンホールの種類

まず、ボタンホールの形には主に次の3つがあります。

📌シャツボタン穴 シャツに使われるボタン穴ですが、一般的な洋服に一番よく使われているボタンホールです。    既製品にもシャツホールが使われています。

📌ネムリ デザイン的に丸みを帯びている方が好まれる場合や、丸い方にだけ負荷がかかりやすい時などに使います。またあえてボタンを空けているように見せる”あきみせ”やジャケットの胸元につけるお花や社章用のフラワーホールにもネムリ穴が使われます。

📌ハトメ 片方の先が丸くなっているのはボタンの足の部分がしっかり収まるためです。コートやジャケットに付けるような厚みのあるボタンで糸を何回も渡してしっかり付けている用のボタンホールです。また、パンツのウエスのボタンホールにも使われます。

ボタンホールの向き

ボタンホールの「縦」と「横」には、見た目だけでなく機能や服の構造上の意味も深く関係しています。

📌服の動きに対する機能的な理由
ボタンホールの向きは、服の「引っ張られる方向」に大きく関係しています。

  • 縦方向のボタンホールは、上下方向の力に強く、開きが安定します。
     → ブラウスやワンピースの前立てなど、身体の動きに合わせて上下に引っ張られやすい部分。
  • 横方向のボタンホールは、横方向の力に強く、ボタンが外れにくい構造。
     → ジャケットやコートの前立て、ウエスト部分など、身幅方向に引っ張られる場所。

つまり「力のかかる方向に対して垂直に開ける」のが原則です。

📌デザイン上の印象
見た目の印象も少し違って見えます。

  • 縦方向のボタンホール すっきりした印象で細身のシルエットのデザインに合う
  • 横方向のボタンホール 安定感と重厚感。メンズライクな仕立てやジャケットに多い。

「縦=繊細」「横=安定」といったデザインバランスの感覚で使い分けられることもあります。

📌例外
面白いのは、1着でも向きが違うことがある点です。カッターシャツなどがそうですね。一番上の台衿のボタンホールは横で、前立て部分は縦方向です。

また、ジャケットやコートなどでは、上だけ斜めや横にして、動いたときの引っ張りに対応させています。
これは機能上の工夫であると同時にデザイン性を感じさせるポイントでもあります。

手縫いボタンホールに向いている布

まず、すべての布に手縫いのボタンホールが向いているわけではありません。
向いているのは、

  • ある程度厚みがあり、しっかりした布(ウール、デニム、リネン中厚など)
  • 糸を引き締めても生地が歪まない布
    です。

薄地(ローンやボイルなど)や伸縮性のあるニット地は、生地が波打ちやすく不向きです。

準備するもの

📌手縫い糸
素材の厚みによって違いますが、コートの場合は#8番くらいの太い糸、ジャケットやかっちりしたトップスの場合は#20番、シャツやブラウスは#30番などがおすすめです。

コート   フジックス・ポリエステルキングスパン#8番
ジャケット シルコート20番  光沢があって仕上がりが綺麗です
シャツ・ブラウス ダルマ家庭糸30番
リバティなどの生地にはオリヅル絹手縫い糸9号が合います。


📌縫い針――― 糸通し穴が大きめの針を選びます。 私個人としてはフランス刺繍の針を使っています。
       針先が鋭いので、地の目を刺しやすいからです。

📌蝋引き用のろうそく―――コートなどにボタンホールを手縫いする時、糸に「蝋引き」をします。
            📍蝋引きとは糸の毛羽立ちや撚りの広がりを押さえ、滑りをよくして縫いやすく
              するためです。蝋引き用の蠟15g

📌ほつれ止め液(ピケ)――― 布端がほつれやすい素材は、先にほつれ止め液を使っておくと安心です。

きれいに仕上がるボタンホールの縫い方ステップ

シャツボタンのボタンホールを縫う手順

位置の印付け

ボタンの直径+厚み+1~2mmを足した長さで印をつけます。位置は前中心線よりも前端の方に2mm出たところ。

糸の蝋引き

地縫いする

ミシンの針目を「1」にして、印をなぞって縫い、中心線を切り込みます。ミシンを全く使わない時は、細かく返し縫をします。

1の針目で周囲を縫います。

ガイドになる糸を渡しますが、玉止めはせず小さく返し縫をしてから縫い始めます。

図の順番に刺していきます。短い方の辺は繰り返して縫います。

図の①に戻ります

ボタンホールステッチ

ボタンホールステッチを始めます。

ボタン穴に糸をくぐらせて、できた輪に針をくぐらせます。

ここが最大のポイントです!!!
引き締める時、糸を引く方向は上、もしくは左方向です。

ここでしっかりと引き締めてください。

針を出す位置を意識して、地の目に沿って並ぶようにします。(図Ⅰ)

端まで来たら、糸を横幅に2回渡して、中心で2回巻きます。(図2)

中心で2回巻きます。(図3)

反対側に進みます(図4)

反対側も同じように縫い進めます。

終わりまできたら、折り返しの端と同じように幅分に2回糸を渡して

小さく2回糸をまいて裏側に糸を出します。

縫い終わりは玉止めはせず、編み目の中に糸を通して

小さく返し縫いをしてもう一度通してから

糸をカットします。

表に返して、へらなどで編み目の山を中心側に移動させます。

両側を中心に寄せたら完成です!

手縫いでボタンホールステッチをする時のポイントは、針をくぐらせた後の糸を引く方向です。糸を右側に引いてしまうと、ぺたんとした仕上がりになってしまい見た目の高級感が損なわれます。

糸を一旦真上か左側に引くことで、編んだ糸目の山が左側にできます。刺し終わった後で中心側にずらすことでステッチが立体的になってオーダーメイドのようなボタンホールになります。

きれいに見せる3つのコツ

  1. 縫い目の角度を揃える
     ステッチの傾きがバラバラだと不揃いに見えます。針を布に刺す角度を一定に保つと美しく仕上がります。
  2. 糸の引き加減は“きゅっ”と止まるくらい
     強く引きすぎると生地がつれるため、糸が軽く締まる程度に。均一の力加減で引くように意識します。
  3. 仕上げにアイロンで形を整える
     熱と蒸気でステッチを落ち着かせると、プロのようなボタンホールになります。

その他のボタンホール

ハトメ―ーーコートやジャケットに付けるような厚みのあるボタンで糸を何回も渡してしっかり付けている用のボタンホールです。

リバティのような薄いローン生地のボタンホールには絹手縫い糸9番を使います。

まとめ

手縫いのボタンホールは、スピードではなく丁寧な積み重ねで仕上がりが変わります。
1つ1つのステッチを揃え、布目に合わせて進めることで、美しいボタンホールを手縫いすることができます。焦らずに何度も練習して、糸の扱い、針を刺す位置、引っ張る力加減などのコツを身につけていってください。

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