フリーモーション刺繍のやり方とコツ|刺繍ができるミシンと押さえ

パッチワーク&刺繍

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フリーモーション刺繍は、ミシンの送り歯を下げて前後左右、自由に針を動かして布の上に絵や模様を描くように縫える技法です。

ミシンの送り歯を下げるドロップフィード機能と専用の押さえを使えば、布を好きな方向に動かして、自分だけのオリジナルデザインを仕上げられます。

この記事では、フリーモーション刺繍の方法と刺繍ができるミシン、必要な道具や基本のやり方、初心者でもきれいに仕上げるコツをわかりやすく紹介します。バッグや小物にワンポイントを入れたり、アート作品として楽しんだり、刺繍の世界がぐっと広がります。

フリーモーション刺繍の魅力

フリーモーション刺繍の一番の魅力はコンピューターミシンの刺繍とは違って暖かみが出せることです。どちらも同じように手書きのモチーフを自分の手を動かして描いていくのと、コンピューターに読み込ませてモチーフ通りに出力するのとでは同じモチーフではありますが、作り手の想いがこもった作品に仕上がります(そんな気がします)

フリーモーション刺繍の魅力を以下にまとめました。

  • 自由な表現力――生地を前後左右に動かすことで、絵を描くように自由なデザインを表現できます。
  • 手仕事の温かみと機械のスピード感の融合――手刺繍に近い風合いを残しつつ、機械のスピードで作業できるため、スピーディーに完成させられます。
  • 多様な表現が可能――ドロンワーク、カットワーク、サテンステッチ、ロングステッチ&ショートステッチなど、様々な手刺繍の技術を再現できます。
  • 特別なミシンが不要――家庭用ミシン、職業用ミシンなど、直線縫いができるミシンがあれば始められます。
  • 練習すれば誰でも習得可能――初めは難しく感じるかもしれませんが、練習を重ねることで習得できる、奥深い技術です。

フリーモーション刺繍ができるミシンは?

フリーモーション刺繍は職業用ミシンでも家庭用ミシンでもできます。特に、職業用ミシンって直線縫いしかできないと思っている人も多いと思いますが、職業用ミシンでも家庭用ミシンでもただ一つ条件をクリアしてさえいれば、フリーモーション刺繍が楽しめます。

その条件とは、「送り歯を下げれる」ドロップフィード機能があることです。ドロップフィードとは、ミシンが布を自動で送るための送り歯を下げて、縫う位置を自由に動かせるようにする機能です。この機能により、フリーモーションキルティングやアップリケ、フリーハンドでの刺繍などが可能になり、布に自由な模様やデザインを描くことができます。

ドロップフィードのつまみを操作することで、ミシンの送り歯が上に出てきたり、針板の下に引っ込んだりします。

ドロップフィードのある位置はミシンによって違います。

職業用でも家庭用でも、仕様書を見て確認してください。

通常は送り歯は出ています。
レバーを左側に変えて送り歯を下げます。
JUKI家庭用ミシンの場合
下げた状態

フリーモーション刺繍を始める前の準備

フリーモーション刺繍を始めるまでのミシンの準備でドロップフィード機能以外について説明します。

フリーモーション押さえの用意

フリーモーション刺繍をするために必要な押さえがあります。フリーモーション押さえ、ダーニング押さえ、キルト押さえなどと言います。金属、プラスチック製などのいろいろな形状があります。

購入時、付属品に「フリーモーション押さえ」があるミシンはそちらを使えますが、ドロップフィード機能があっても押さえが付属されていない場合は別売りで購入します。

家庭用ミシンの「押さえ」にはハイシャンク(high shank)/ローシャンク(low shank) の2通りがあります。自分のミシンがどちらのタイプかを確認することが、押さえを選ぶ上で非常に重要です。

家庭用ミシンのフリーモーション押さえにハイシャンク・ローシャンクの2通りあることを知らずに汎用品を注文し、届いたら自分のミシンには高さが合わなくて使えず、注文しなおしたことがあります。

ローシャンクとハイシャンクでは、押さえ金の底面(布に近い面)からネジ穴(押さえバーを固定するネジ・ホルダー部)までの高さが異なります。

押さえ金が正しいシャンクタイプでないと、針が押さえ金とぶつかる・押さえがうまく動かない・布を押さえる高さ調整ができない、など不具合が出ます。

購入時の注意点としては、職業用ミシンの押さえは純正品の扱いしかありませんので迷うことはないですが、家庭用に関しては「汎用品」という選択肢もあります。価格が少しお得になっていますが汎用品を選ぶよりは自分のミシンに合う純正品を買われることをお勧めします。

ミシン刺繍に慣れないうちはケガや針を折ってしまう危険を避けるために押さえを使用するのが安心安全です。しかし、必ずしも専用押さえが必要かと言えば、そうでもありません。動かし方に慣れてきたら押さえが邪魔に感じるかも・・・。

刺繍枠を使うことで布のバタつきを抑えるミシン押さえの役割を刺繍枠が果たしてくれて、押さえなしで刺繍することは可能です。押さえを外すのはミシンによっては正規の使い方ではない場合がありますが、縫い目が見やすく布を動かしやすくなります。

押さえを交換し終わったら、ミシンの針目を「0」にします。「0」にすることで、自分が動かした分だけ針目が動くことになります。

これで縫う前の準備が整いました。

布の準備

フリーモーション刺繍は生地にのみ刺繍をするのではなく、必ず接着芯・キルト芯・下紙などを貼った状態で行いますので、基本的にはどんな生地にでも刺繍はできますが、向く生地と向かない生地があります。

フリーモーション刺繍に向く布は

  • コットン
  • ハーフリネン
  • リネン
  • カットソーなどのニット生地
  • フェルト(ワッペンなどを作る時に使用)

向かない生地は

  • ローンなどの薄手の生地
  • 目が詰まり過ぎているサテン

などです。

裏に貼る接着芯は作る作品によって調整します。ふんわりした仕上げにしたい時は接着キルト芯を貼ったり、フラットな印象にしたい時は薄手の接着芯を貼るなどします。

また、Tシャツや洋服に刺繍するときは、下紙(刺繍下紙、安定紙)を使います。

  • 水溶性タイプ(水に溶ける下紙/水溶性シート)アイロン接着して使います。使用後、水で洗い流せたり溶けたりするタイプ
  • 接着芯タイプ(糊付き/アイロン接着タイプ)裏面に糊がついていて、布にアイロンで固定できます。糊残り、アイロンの熱で素材を傷めないように注意が必要。
  • 糊なしタイプ(のりなし不織布など)接着力なし。枠に挟む/両面テープ併用などで固定して使います。枠からずれやすいので固定方法を工夫する必要あり

糸の準備

刺繍ミシンでは、上糸と下糸の色をいちいち合わせる必要はありません。上糸はデザインに合わせて指定の色の糸に取り替えていく必要がありますが、下糸は常に1色に固定したままで縫い進めていきます。その時使用する下糸が「刺繍専用下糸」となります。

上糸

フリーモーション刺繍で比較的使われることのある上糸素材と、それぞれの利点・欠点を紹介します。

📍ポリエステル刺繍糸
  ・丈夫で糸切れしにくく、摩擦・洗濯に強い。日常使いや衣類向き。
  ・光沢感がやや人工的に見えることがある。太すぎると針通りやテンションが難しくなる。
  ・ロゴ刺繍、衣類、耐久性重視、汎用用途。

📍レーヨン刺繍糸 
  ・発色が鮮やかで光沢が美しい。仕上がりが華やか。ノンブライトの糸もあります。
  ・強度はポリエステルより低めのものもある。糸切れしやすいデザインや高速縫いには注意
  ・装飾系刺繍、目立たせたいモチーフ、ワッペンなど。

📍コットン系刺繍糸
  ・マットな質感、温かみのある風合い、自然な雰囲気。
  ・糸くず(フリンジ)が出やすいことがある。高速縫い・頻繁な糸切れリスク。
  ・キルト、布絵、コットン素材の作品、フリーハンド風アレンジ。

📍グラデーション糸
  ・刺繍中に色の移り変わりを生かした表現が可能。
  ・色の切り替わりのタイミングが思いどおりにならない。
  ・風景、背景、ぼかし表現など。

※糸の太さは120d/2(120デニール)、50番、60番などが一般的です。

作風や用途によって糸を選ぶことが重要です。また、安価で撚りや糸継ぎが粗い糸は、糸切れ・ほつれ・糸送り不良の原因になりやすい、ということがあります。信頼ある刺繍糸ブランドを選ぶのが安心。

下糸

フリーモーション刺繍の場合は下糸を見えないように糸調子を合わせるため、上糸と下糸を同じにする必要はありませんがもちろん、同じでも構いません。

📍上糸と同じ糸を使う
  同じ糸なので下糸が多少表に見えたとしても目立ちにくい。

📍ミシン刺繍用の下糸
  テンションを強めに撚ってあり表に出にくい加工がしてあります。

👉 刺繍専用下糸をチェック

フリーモーション刺繍の手法と活用アイデア

フリーモーション刺繍の手法

フリーモーション刺繍の主な手法はライン刺繍ですが、コード刺繍(コーチングステッチ)や、サテンステッチなどの手刺繍のような縫い方もアレンジできます。

📍コード刺繍(コーチングステッチ)――布の表面に置いた糸を、別の糸で図案に沿って留めつける縫い方。
                    止付ける方をミシン刺繍で行います。

📍サテンステッチ――決まった形の中を一方方向の線で埋め尽くす刺し方。

📍バックステッチ――ジグザク縫いと直線縫いを重ねる

📍ライン刺繍――線画を描くような表現方法

コード刺繍もサテンステッチもある程度手の動かし方に慣れるとできますが、初心者の人には少しハードルが高い手法です。ライン刺繍でしっかりと布の動かし方に慣れてからの方が良さそうです。

活用アイデア

私の場合は線画が主な手法で、自由に布の上に絵を描いていくのが好きです。これまでに作った作品と作り方の動画をご紹介します。

💡Tシャツにリネン生地に刺繍したポケットを付けています。

💡リネン服にワンポイント刺繍を追加しています。

💡アレンジ集です。ポーチやブローチを作っています。

💡ルームシューズの甲の部分に刺繍してから仕立てました。

💡洋服の薄くなった部分の補強として刺繍したワッペンを付けています。

💡動物をモチーフにして刺繍し、布用のペンで色を付けています。

まとめ

この記事では

  • フリーモーション刺繍ができるミシン
  • 専用の押さえ
  • 縫う前のミシンの設定
  • 縫い方の種類
  • 活用例

をご紹介しました。

自由に絵を描くように楽しめるのが、フリーモーション刺繍の一番の魅力です。最初のうちは、線が震えたり、思ったように布が動かなかったりするかもしれません。

でもそれも、手描きならではの味わい。何度か練習するうちに、糸の流れやスピードの感覚がつかめてきて、少しずつ理想のラインが描けるようになります。

慣れてくると、トートバッグや洋服にワンポイントを入れたり、額装して飾れるようなアート作品を作ったりと、表現の幅がどんどん広がります。自分のミシンで自由に表現できる喜びを、ぜひ楽しんでみてください。

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